産業廃棄物と有価物の違いとは?判断基準や間違えるリスクを解説
事業活動に伴い必ず排出されるのが不要物です。一見同じに見えても、「産業廃棄物」と「有価物」では処理方法や責任の所在が大きく異なります。間違った処理をしてしまうと、法令違反で罰金を科せられる可能性もあり、大きなリスクとなります。本記事では、産業廃棄物と有価物の違いを解説し、正しい処理方法や判断基準についてご紹介します。
産業廃棄物と有価物の違いとは?
それでは産業廃棄物と有価物の違いを見ていきましょう。
産業廃棄物とは?
事業活動によって生じた不要物は、全て「産業廃棄物」として厳格な管理が求められます。事務用品、建設廃材、食品廃棄物、工場排棄物、医療廃棄物など、私たちの生活や社会を支えるあらゆる活動が生み出すものが、このカテゴリーに分類されます。
産業廃棄物は、排出事業者自身の責任で処理する必要があります。収集運搬、中間処理、最終処分まで、全て許可を受けた業者に委託し、法令に基づいた手順を踏まなければなりません。
有価物とは?
一方「有価物」は、まだ価値が残っており、売却や再利用できる可能性を秘めた不要物です。古紙、廃プラスチック、廃金属、廃油、中古品など、様々なものが資源として生まれ変わるチャンスを待っています。
価値があるとは、その物品が他者にとって有用であるか、あるいは希少価値や美的価値を持っていることを意味します。有価物は、壊れている場合でも修理や再利用によって価値を持続させることができる場合があります。
例えば、壊れたスマートフォンは一見価値がないように見えますが、画面修理や部品交換によって再利用が可能です。また、金属くずやプラスチック類もリサイクルや再加工によって再利用され、新たな価値を生み出すことがあります。
有価物の価値は、市場や需要と供給の関係によって変動します。需要が高い場合は価値が上がり、需要が低い場合は価値が下がることがあります。そのため、有価物の価値は常に変化するため、適切なタイミングで処分や活用をすることが重要です。
有価物とは対照的に、価値を持たない物品は「無価物」と呼ばれます。例えば、腐敗した食品や使用済みのティッシュペーパー、焼け焦げた衣類などは一般的に価値がないと見なされます。
したがって、有価物と無価物を適切に区別することは、資源の有効活用や経済的な観点から重要です。有価物は再利用やリサイクルによって新たな価値を生み出すことができるため、環境への負荷を軽減するうえでも有益です。
産業廃棄物と有価物を間違えると…
産業廃棄物を有価物と誤って処理してしまうと、以下のようなリスクがあります。
法令違反となる
産業廃棄物処理法違反で、5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が科される可能性があります。法令を守らないことで企業の信頼性が損なわれ、将来的な事業展開にも影響が出る可能性があります。
環境汚染を引き起こす
不適切な処理によって、有害物質が環境中に放出され、地球温暖化や大気汚染、土壌汚染などの環境問題を引き起こす可能性があります。これにより、周辺地域や生態系への影響が及ぶことがあります。
企業イメージが損なわれる
法令違反が発覚した場合、企業のイメージが大きく損なわれる可能性があります。環境への配慮や社会的責任を果たしていない企業として批判され、顧客や取引先から信頼を失うことがあります。これにより、企業価値が低下し、競争力が弱まる可能性があります。
リスクを回避するためには、産業廃棄物の正しい分別や適切な処理方法を実施することが重要です。また、法令や規制に適合し、環境への配慮を十分に行うことで、企業の信頼性や持続可能性を高めることができます。
産業廃棄物と有価物の見分け方のポイント
一見同じに見えても、産業廃棄物と有価物の境界線は曖昧な場合があります。判断に迷う場合は、以下の3つのポイントを参考にしてください。
売却できるかどうか
例えば、不要になったOA機器を1万円で売却できたとしても、輸送費に2万円かかった場合、利益はマイナス1万円となります。この場合、OA機器は有価物ではなく、産業廃棄物として処理する必要があります。
再利用できるかどうか
古くなった衣服は、まだ着られる状態であっても、実際には再利用されていない場合は、有価物とは見なされません。
処理に費用がかかるかどうか
建設廃材は、リサイクルできる可能性があるものもありますが、処理には費用がかかります。そのため、建設廃材は有価物ではなく、産業廃棄物として処理する必要があります。
判断に迷う場合は、自治体の廃棄物担当窓口や産業廃棄物処理業者に相談するなど、専門家の意見を仰ぐことをおすすめします。
まとめ
不要物を正しく処理することは、法令遵守だけでなく、環境保護や企業イメージの向上にもつながります。産業廃棄物と有価物の違いを理解し、それぞれの特性に合わせた適切な処理方法を選択することが重要です。不要物処理に関する疑問や不安は、お気軽に自治体の廃棄物担当窓口や産業廃棄物処理業者に相談してください。
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引用元:https://e-bright.jp/