「マニフェスト」って何?廃棄物の処理に必ず必要ってホント?
私たちの生活にはどうしてもさまざまな種類の「ごみ」が排出されます。一般の家庭ごみとは異なり、事業者から排出されるごみには木片などの自然のものから、機密情報を含んだ紙、工業用の原料など多岐に渡ります。そこで、導入をされているのが「マニフェスト」です。この記事では産業廃棄物の処理に必要なマニフェストについて解説します。
マニフェストとは
日常生活でマニフェスト、と耳にすると選挙公約に関するイメージが脳裏をよぎるかもしれません。しかし、今回解説をするマニフェストとは公約ではなく「産業廃棄物管理票」についてです。
実物を見ると驚く方も多いですが、産業廃棄物を厳重に管理の上破棄をするにはマニフェストと呼ばれる用紙を作成する必要があります。ごみを捨てたい事業者が、ごみを受け入れる処分業者に対してマニフェストを渡し、適正な処分が行われたかどうかを徹底管理するのです。
しかしどうしてマニフェストと呼ばれる制度は導入されたのでしょうか。その背景には2つの事情が挙げられます。
■不法投棄・不法処分を防ぐ
適正なごみの処分を行わないと、不法投棄を招く可能性があります。実際にマニフェストの導入以前は、山林や海などに不法投棄が頻繁に行われており、行政側にとっても大きな課題でした。排出する側も受け入れる側もマニフェストに沿って適正に管理をすることで、不法投棄や不法処分を防ぐ効果があります。
■処分業者を明示化
ごみの適正な処分に関しては排出すぐ事業者だけではなく、受け入れる側の管理化も大きな課題でした。受け入れたごみを勝手に不法投棄する、転売してしまうなどの業者を根絶する必要があり、マニフェストの導入が進んだのです。
また、不法投棄や転売はなくても、きちんとした処理方法でごみを処分しなければ環境へのダメージも大きく公害などの問題を生む可能性があります。マニフェストの導入は環境保護の意味合いもあるのです。
マニフェストの書き方と使い方
不法投棄や環境保護など、多方面の視点から導入が行われているマニフェストですが、実際に用紙を記入されたことはありますか。おそらく事業側や廃棄処分業者に精通をしていないと、なかなか普段マニフェストを見る機会はないでしょう。
実際の書類は宅急便などの伝票のような雰囲気がありますが、記入項目は多く慣れる必要があります。マニフェストの交付は有料なので、まずはゆっくり書き方と使い方をマスターすることが重要です。
■マニフェストの書き方
では実際にマニフェストの書き方をマスターしてみましょう。一番上のA票がごみを排出する業者の控えとなっており、その下6枚はごみ運搬業者や排出業者の控えといった流れです。最終的には排出事業者の手元に残るのは、B2、DとE票であり、保管をする必要があります。
記入に関しては廃棄物の種類や運搬、受入先ごとに1つずつ作成が義務付けられており、廃棄する業者や運搬台数が多い場合にはその都度マニフェストを作成する必要があります。ごみを捨てる・受け入れる・処分する業者はそれぞれマニフェストを通過されるように引き継ぎしながら、廃棄を進めることになるのです。
書く内容としては、産業廃棄物が発生した日や排出場所、廃棄物の種類などです。運搬先や処分業者の連絡先なども細かく記載します。
■マニフェストの使い方
実際にマニフェストの記入が終わったら、次にはどのように使うものでしょうか。マニフェストの流れは一次と二次で分けることができます。
ごみを排出する排出事業者、そのごみを収集する運搬業者、最後に処分を行う業者の3つの業者の間でやり取りを進めていくマニフェストを一次マニフェストと言います。二次マニフェストは中間処理業者・収集運搬業者・最終SY分業者の3社間で取り交わします。使い方は以下の通りです。
■マニフェストの使い方の基本
1枚目のA票は排出する事業者が控え、2枚目のB1は運搬業者が控えます。3枚目は運搬した控えに運搬業者が排出業者にB2として差し戻します。次に4枚目のC1はごみの処分業者の控えです。
5枚目であるC2はごみの処分業者から運搬業者へ差し戻し、6枚目のD票は処分業者から運搬会社を経由してごみ排出業者へ戻されます。最後にE票はごみの最終処分の完了後に処分業者から排出業者へ戻されます。
マニフェストの入手方法と保管期限
現在、公益社団法人全国産業資源循環連合会が発行しているマニフェストは「紙マニフェスト」と呼ばれるものと「電子マニフェスト」と呼ばれるものがあります。
現在もまだまだ多くの業者が活用している紙について下記で解説します。紙のマニフェストは記入が簡単になるように複写式となっており、7枚綴りです。100分で2,600円(税込)で販売されています。
有料のため書き損じてもそのまま使いたくなるかもしれませんが、マニフェストの書き方を間違え、ごみを処分してしまうと行政処分に発展する可能性があります。複写式のため修正は手間に感じますが、綺麗に修正を行うか、修正しやすく簡単な電子マニフェストを導入しましょう。
この記事では産業廃棄物を知る上で欠かせない存在であるマニフェストに関して詳しく解説しました。マニフェストは慣れるまで大変難しく感じますが、修正や管理がより容易になった電子マニフェストも進化しています。上手に使いこなして書き損じを防ぎ、正しいごみの処分を完了させましょう。
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引用元:https://e-bright.jp/